
こんにちは、小山です!
one's placeでは、入居者さんの誕生日に、その方の好きなメニューを食べに行くという誕生日会を開催しています。
定番は近くのファミレス。決して特別な場所ではないのですが、入居者さんからはとても人気で、毎回楽しみにしてくださる方も多いイベントです。
今回は、その誕生日会の中で、ある入居者さんの小さな、でも私たちにとってはとても大きな変化に気づけたエピソードをご紹介します。
「ハンバーグの子」

ある入居者さんは、決められたルーティンで決められた行動をすることが得意な特性をお持ちです。
意思表示は発話が難しく、「はい」か「いいえ」で答えられるクローズドな質問で、ようやく気持ちを確認できるレベルです。
その方は、誕生日でそのファミレスに行くと、決まってハンバーグを指差します。もう何年も続く、いわば「恒例」。
ご本人のお母様ですら、誕生日の話題が出るときには「どうせハンバーグにするだろう」とおっしゃるほど、それは自然に、疑いようのないこととして周囲に定着していました。
「しっかりメニュー表を見てもらおう」
今回の誕生日を前に、職員会議で「その入居者さんは何がいいか」という話題になりました。
最初はやはり、「恒例のハンバーグかな」という声が上がりました。
けれど、その中で一人のスタッフから、こんな提案がありました。
「いや、今回はちゃんとメニュー表を見て、選んでもらいましょう」
なんとなく「ハンバーグだろう」と決めてしまう前に、本人にきちんと選択肢を提示してみよう、という小さな、でも大切な一言でした。
当日、いつもと違う指
誕生日当日。ファミレスのテーブルで、いつものようにメニュー表を開きました。
これまでなら、開いてすぐハンバーグを指差すはずの場面です。
ところが、その方はじっくりとメニュー表に目を通し、指を差したのは——ハンバーグではありませんでした。
その場にいたスタッフも、一緒に来ていた他の入居者さんも、思わず顔を見合わせて驚きました。
「え、今日は違うんだ」
誰も予想していなかった選択でした。

完食した、美味しそうな顔
運ばれてきた料理を、その方は本当に美味しそうに食べ、見事に完食されました。
満足げな表情を見て、私たちも思わず頬が緩みました。
決めつけていたのは、私たちの方でした
今回のことを通して、改めて感じたことがあります。
「この人はこれが好きなはず」「きっとこれを選ぶだろう」——そうした思い込みや固定観念は、本人のためのようでいて、実は本人の選ぶ機会そのものを奪ってしまうことがあるのだと。
発話が難しく、意思表示の方法が限られているからこそ、私たちは「わかっているつもり」になりがちです。けれど、きちんと選択肢を差し出し、本人のペースで選んでもらうことで、これまで見えていなかった気持ちや好みが、ふと顔を出すことがあります。
最後に
「ハンバーグの子」という、私たちの中にあった小さな決めつけ。
それを手放してみたことで、ご本人の新しい一面と出会うことができた誕生日会でした。
これからも、思い込みで先回りするのではなく、一つひとつ本人に問いかけながら、その方らしい選択を大切にしていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


