
こんにちは。One's place管理者の小山です。
先日、法人内研修として、中村建児さんを講師としてお迎えし、グループホームのスタッフ向けに「意思決定支援」をテーマにした研修を行いました。
グループワークを中心とした内容だったのですが、支援に携わる者として、とても考えさせられる時間になりましたので、今回はその話をしたいと思います。
「寿司が食べたい」は、本当に本人の意思か
研修の中で出てきた、こんな例がありました。
グループホームの入居者さんみんなで「ご飯屋さんに行きたい」となり、多数決で決めようとする場面。
ここで、Aさんが世の中で寿司屋しか知らなかったとします。
Aさんはもちろん「寿司を食べに行きたい」と言います。
でも、これは本当に本人の意思で決定されたものだろうか、という問いかけでした。
つまり、決定というのは、その人が知っているものの中からしか選ばれない。
選択肢を知らなければ、そもそも「選ぶ」というスタート地点にすら立てていないのかもしれません。
「空気を読む」という落とし穴
もう一つ、印象的だった例があります。
意思確認をする際、「Bさん、Cさんは焼肉って言ってたけど、Aさんはどうする?」という聞き方をしたとします。
すると、Aさんは周りに合わせて「焼肉」と答えるかもしれません。
これもまた、本当に本人の意思から出た決定だろうか、という問いです。
聞き方ひとつで、答えは簡単に変わってしまう。
グループホームで日々支援にあたる立場として、自分たちの何気ない声かけの中に、こうした「意思決定を歪めてしまう仕掛け」が潜んでいるのかもしれないと、はっとさせられました。
引き出す前に、まず「知る」こと
グループワークでは、出席した職員さんたちから「では、どうすれば本人の本当の意思を引き出せるのか」という意見が活発に交わされました。
その中で特に印象に残ったのは、意思決定を引き出す前に、まず本人を深く知ることが大切だということ。そして、それを日々積み重ねていくことが大切だということでした。
Aさんは、寿司以外の飲食店を知っているだろうか。
食べ物の好みは何だろうか。
周りに気を使ってしまう性格なのだろうか。
生育歴は。今の体調は。
そうした一つひとつを、普段のたわいない会話の中から少しずつ掘り出し、支援にあたる者同士で共有し、蓄積していく。
この積み重ねがあってはじめて、私たちは本人の意思決定を本当の意味で引き出せるようになるのだと思います。
技術より先に、泥臭く向き合うこと
ついつい、コミュニケーションのテクニックや技法に意識が向きがちです。
でも、それよりも先にあるべきは、泥臭く本人と向き合っていくことなのだと、今回の研修を通して改めて感じました。
対話の技法や、情報を共有する仕組みづくりは、あくまでその一つの手段。
大切なのは、その手段を使って何を積み重ねていくか、ということなのだと思います。
One's placeでは、これからも入居者さん一人ひとりに誠実に向き合い、泥臭く支援を続けていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。


